指先に小さな筒状の人形を差して動かす。
単純で小さな人形だから、特別の舞台もいらないし、ごく小人数の集まりでもできる、
手袋の五本の指先全部にひよこの頭をつけ、五羽のひよこを一度に動かすような人形もできる。
また五人家族の人形を五本指にはめて、歌をうたったりすることもできる。
太いものや細長いものなど、いろいろの空びんを用いて、テーブルの上に並べながら人形劇を
やることができる。このびん人形は、びんの重さが手にしっくりするので扱いやすい。
影絵人形は、演出技法上の分類で、人形の構造でいえば、棒つかい人形の一種となる。
厚紙や、伝統的には動物の薄い革で作った人形が使われる。光を透過する白いスクリーンを貼り、
観客席の反対側で人形に光をあてて、その影によって演じる人形劇である。厚紙に穴をあけて光を
通す色の付いたシート(プラステート、ゼラチン、セロファンなど)を貼ったり、革を染料で
そめて油を塗って光が通るようにした人形では、カラーの影絵劇ができる。
日本では、色鮮やかに特異な発達をした反面、人形の動きの乏しいものとなった。美しい色と
情景で、お話を見せるものになった。
しかし、もともとのアジアの影絵人形たちの演技は、もっと力強くアクティブなものである。
画面の美しさを競うためには、機材や技術がたくさん必要となるので、もっと動きに注目した
影絵人劇を作ってみるとよいだろう。
舞台の背景を完全に黒バックにし、操者は黒い衣装(黒衣:くろこ、くろご)を着用する。
会場を暗闇にして、光が入らないようにする。
スポットライトで人形にだけ光があたるようにして、暗闇の舞台の中で人形だけを浮かび
上がらせて、後ろにいる操者は見せない、人形だけを見せる方法と、人形を螢光塗料で着色し、
紫外線のみ出る特殊な螢光灯(ブラック・ライト)で舞台全体を照らし、人形だけを光らせる方法
との2種類がある。
後者の方は、ブラック・ライトさえあれば、比較的容易にやれる方法である。
この技法は暗闇の中で、人形操者を感じさせないで、人形だけのファンタスティックな舞台を
つくることができる。