一方、各地のお祭りの山車の上で演じられる、高山などが有名な山車カラクリ人形がある。
これらは、実際はたくさんの人が裏で人形を操作しているのだが、人形がまるで自分だけで
動いているように見えるように工夫された人形である。
このような糸や操作棒が、直接見えない形で、歯車や、滑車など機械的な構造を使って操作
される人形を、カラクリづかい人形として分類した。従来は単にカラクリ人形と呼ばれてい
たが、自動人形と区別し、人があやつる人形として分類するための用語として造語した。
最近では、コンピューター技術と、超といえる精密機械技術を合わせて作られた、SFXの中で
活躍する人形たちも、このカラクリづかい人形に分類される。
アメリカではこのような人形をアニマトロニクスという呼称で、急速に発達していていて、
多くの人形つかいたちが、これらの仕事に参加している。強調しておきたいのは、人形操者の
巧みなマニュピレーションの上に、なり立つ人形であるということであって、単なる自動機械
ではないということである。
いずれにしても、本格的なカラクリ人形は、ある程度の工学的な緻密さで人形の操作法を保証
しなければならないので、本格的なものを作って、演じることはなかなかむつかしい。
けれども、簡単なものであっても、工夫すれば舞台に使うことができる。例えば、動かなかった
お地蔵さんの人形が、糸で引っ張ることにより、突然まばたきしたり、口だけパクパクして通行人
に話しかけことで、モノだと思っているお地蔵さんに、生きていると観客に感じさせる、大きな
効果をねらえる。このような簡単な人形であれば、舞台に登場させることは可能である。
何よりも、人間が動かしているということを感じさせないのが特長だから、舞台空間の中で、
劇的効果を盛り上げる演出が。いろいろ考えられるので、工夫してみるとよい。