藤原玄洋(日本ウニマ事務局)
マリオネットと呼ばれることも多く、糸や針金で操作する人形の総称である。
糸あやつり人形というと、糸の本数が多く複雑に思われているが、さまざまな
形式の人形がある。
糸あやつり人形は、最初から糸で操作されているものから、すべてが生まれた
わけではなく、前述の上からの棒づかい人形であったと考えられる。だんだん
複雑になるにしたがい、手・足に補助的な糸がつき、やがて全部が糸だけで
あやつる構造に発達したと思われる。
このことを知っておくことは、糸あやつり人形をはじめるときには、特に重要
なことである。
人形の重さを支える両肩の糸、首、両手、両足を動かす各2本の糸とで、九本の
糸でつかうものが普通の形式である。糸のかわりに部分的に針金をつかうこともある。
糸を受ける操作器のことを〈コントローラー〉または〈吊り手〉(つりて)と呼ぶ。
トンボ型の〈水平式〉のものと、たて型になった〈階層式〉のものとがある。
どちらかというと、糸あやつり人形はヨーロッパで盛んに行なわれている。
日本では第二次世界大戦までは、現代人形劇において主流的役割をはたしていたのに、
今日では活発に行なわれているとはいえない。それはその後、さまざまな構造の
人形が開発されたことにもよるが、むしろ舞台的条件や、構造の複雑さから敬遠され
ているように思える。