3.棒づかい人形:Rod Puppet
藤原玄洋(日本ウニマ事務局)
棒で操作される人形の総称で、下から支えてつかったり、上から吊り下げてつかわれるものがある。
1人で一体の人形を操作するものから、2人またはそれ以上で操作する大がかりなものまでいろいろある。
影絵人形も、構造的には棒づかい人形の一種である。今日では棒づかい人形は、もっとも広く世界 中で
行なわれている形式である。
(1) 下から動かす棒づかい人形(A〜D図)
人形の首につけた棒<胴串>を下から支え、人形の手足につけた細い操作棒(竹、木、針金など)
によって操作する。この操作棒のことを<差し金>(さしがね)または、<串>ともいう。
棒人形では首や手を動かすことができなかったが、棒づかい人形ではより表情豊かな表現が可能に
なり、人形を動かすことへの興味が深まる。
胴串の短いもの(A図)と、長いもの(B図)があるが、長いものの方が比較的つかいやすい。
(2) 後ろからの棒づかい人形(E図)
人形の後頭部に1本の棒を差しこんだだけで、手足や人形の首の部分はブラブラの<1本棒づか
い人形>は、立ったり、坐ったり、空中にとび上がったり、宙返りの動きが効果的に表現できる。
操作棒は、人形の大きさにもよるが、直径9〜12mm位のものがつかいやすい。長さは人形の
大小にもよるが40cm前後で、棒の角度は人形をまっすぐに立てたとき、45度位の角度が操作
しやすい。首につける棒はしっかり固定しておかないと、人形を宙返りさせるなどすると、すぐに
ぬけたり、グラグラになってしまうので、充分注意して作ることだ。
また1本の棒だけでは、人形がフラフラしてつかいにくいときは、人形の腰の後ろにもう1本の
棒をつけることにより安定する。手や足に棒をつければ、さらに豊富な動きも表現できる。
(3) 上からの棒吊りづかい人形(F図)
頭の上に差しこんだ細い棒を上から吊すようにして動かす人形。手足の関節はブラブラの
ままでもよいし、手に紬い操作棒をつけて動かしてもよい。構造上は次の〈糸あやつり人形〉
の先祖ともいえるもので、この人形が充分つかえるようになれば、もっと複雑な構造の糸あ
やつり人形も、比較的容易に動かすことができる。
(4) 棒で動かす人形のコツ
人間の使う道具の中で棒は、もっとも古くからいつも身近にあった。1本の棒であっても、
いろいろの役目に使える。穴を掘ったり、物をたたいたり、突いたり、あるいは物を引きよせ
たりできる。
だから棒づかい人形をつかうコツは、道具をつかうコツと共通しているともいえる。
ごはんを食べるハシをつかうことを考えてみれば、棒をつかうコツがわかる。ハシでごはん
を食べるということは、棒の先端を上手につかうということだ。小さな子どもは2本のハシを
握ってしまって、物をはさむことはできない。やがて成長することにより、2本のハシの元を
持って、その先で小さなごはんつぶでも、豆つぶでも自由にはさめるようになる。
操作棒はきつく握らないで、幾分ゆるく握るように持ち、なるべく指先をつかって動かす。
肩からひじ、特に手首や指にムダな力が入らないように注意するとよい。