2.手づかい人形:Hand Puppet
藤原玄洋(日本ウニマ事務局)
直接手にはめて動かす人形で、片手で動かすものと、両手で動かすものとがある。
(1) 片手づかい人形
手袋状の人形に手をはめ、首には人差し指、人形の両手には親指と中指、または親指と小指の
三本指を差しこんで動かすもの(E、F図)がある。(指人形)とも呼ばれているが、手からひじ
までつかって動かすので、手づかい人形とよぶのがよいだろう。
指のつかい方はいろいろある。首に2本指を差すもの(G図)は、人形の首を左右に向けるこ
とができる。首を一本で支えるものよりも、2本で支えるものの方が、しっかり支えることがで
きるので、より低学年に適した構造といえるだろう。五本指をつかって足まで動かすこともでき
る。
H図は日本の伝統的片手づかい人形の主流的つかい方で、首の下についている短い棒を、人差
し指と中指ではさんでつかう。首をよく動かせるのが特長である。
J、K図のように、手全体を動かしてつかうものもある。これらは指の細かい動きは必要とし
ないで、面白い動きができる。
衣装もI、J図のように本格的なものから、C、D図のように簡単なものまでいろいろあるので
条件に合わせて作るとよい。
(2) 即興人形劇もできる片手づかい人形
片手づかい人形は、人間の形をした人形ばかりではない。図11の下のように特長を生かし
た動物の人形もできる。
また手袋に顔を描き、手を開いたり、閉じたりすれば花が開いたり、つぼんだりする様子を
表現できる花の人形(J図)や、くちばしをつけたピンポン玉を、手袋をはめた親指に差しこ
んで、残りの四本指をそろえて羽の形にしたアヒルの人形(N図)は簡単に作ることができる。
これらの人形をつかって、音楽に合わせて動かしたり、ダンスを踊らせたりすることにより、
人形ボードビルを即興的に演じることもできる。あるいはありあわせの材料で作った人形で、
簡単なコント風の人形劇を即興的にやることもできる。
(3) 両手づかい人形
A、B図のように片手づかい人形の足などを補助的にもう一方の手で、動かすものをふくめて
多様にある。
現在もっとも使われているつかい方としては、F、G図の人形で胴串(どぐし:首を操作する
棒)を左手で握り、人形の両手を、親指と人差し指に差しこんで操作するものである。これは、
手づかいと棒づかいの長所を生かして考案された構造で、そのつかいやすさから、もっともよく
行なわれている形式である。
またC、D図の両手づかい人形も最近急速に広まっている。特にC図の人形は左右の形がアン
バランスなところが、かえって面白い。
(4) 表情人形
人形の首の内側で手を動かして、人形の顔の動きや、表情を変化させてつかう人形。手づ
かい人形だけでなく、棒づかい人形と組み合わされた構造もある。(E図)
テレビ番組「セサミストリート」の「マペット」の人形も、手で棒を動かす棒づかい人形
と組み合わされた表情人形なので口をパクパクさせてしゃべることができる。
せりふや歌に合わせて口をパクパク動かす表情人形は、古靴下や厚手の布地を利用して、
簡単に作ることができる。このパクパク人形は操作も比較的簡単で、名前どおりに表情豊か
な人形である。親指と他の四本の指で人形の口をパクパクさせるだけで、人形に歌わせたり
しゃべらせて、楽しむことができる。
また表情人形は腹話術の人形としてもつかえるし、司会の人形としてもつかえる。あるい
はパクパク人形のカエルをたくさん作って、歌に合わせて全員でカエルのコーラスをやるこ
ともできるだろう。
厚手の布やゴムやウレタンなどのやわらかい材料をつかえば、口がパクパクするだけでな
く、いろいろな表情のできる人形も作ることができる。人形を大きく作ることもできるし、
操作者の手をそのまま人形の手としてつかえば、さらに表情豊かな表情人形になるだろう。