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−はじまり−今年（1999年）の七夕の頃、山形県の大江町の商工会の方から一通のEmailが届きました。内容は「夏〜初秋にかけて夕方から屋外で、影絵の上演を行い、子供たちと親が一緒に楽し めるひとときを、私達のすむ環境の良いところで、是非開催したいと考えております。」と いう影絵の上演の依頼でした。実は、申し訳ないのですが、初めて聞く町の名前でした。 （左沢＝あてらざわ、という名前の温泉で有名な所です）山形市からさらに奥に入ったとこ ろです。でも夜、野外で影絵という話は面白そうです。距離の問題があります。スケジュー ルと機材の運搬がうまくいくかどうかも心配です。いろいろ含めて条件がクリアすれば、出 来るかもしれないとお返事をしました。
−決まってしまった−大江町商工会青年部の委員長さんはかなり積極的な方でメールでのやりとりのあと、たまたま商工会の会議が横浜であるとのことで、お目にかかりました。アマチュアのそれも横浜の 保土ヶ谷で活動している小さな影絵劇団で尚かつ、作品を見てない段階で決めるのはかなり 無謀なのではとは思いますが、予算的なこともありアマチュアの劇団の方がいいということ もあってスケジュールが合う所でついに決定しました。
−上演当日−９月２５日の土曜日の夜７時に上演が決まり、いよいよ当日を向かえました。前日は台風が日本列島を縦断し風が吹き荒れた翌日です。朝、まだ風が残る中、横浜から車 で移動開始。途中、渋滞に巻き込まれ東京を抜けるのに時間がかかり大江町の皆さんはかな りやきもきしたのではないかと思います。電話で連絡をとりながら山形自動車道までたどり 着いたのはもう３時過ぎ上演まであと４時間、準備もあるのでゆっくりしてはいられません。 どうやら天候は回復して青空が見えて、山形の美しい景色を眺めるのには絶好の日よりなの ですが、余裕もなく、寒河江のインターへ急ぎました。インター出口で商工会の方が出迎え て下さって、なんとか一安心。会場に向かいました。立派な野外ステージがあり、その後ろ には最上川が流れています。そこに到着してすぐ機材をおろし、ステージ作りを開始、ほぼ 準備が完了したところで食事となりました。丁度、山形は芋煮のシーズンで大江町のおそば 屋さんで蕎麦と芋煮をごちそうになりました。（これがおいしくて、なんとかしてもう一度 食べられるといいなと、今でも思っています。）腹ごしらえも済み上演の時刻が近づいてき たので再び会場へ、もうかなり暗くなっていましたが、着いて、ステージに向かって行くと 澄み切った空気の中、右斜め上のところに大きな満月が浮かんでいるのです。この瞬間に 「ああ、ここまで来てよかった」と思いました。会場には三々五々人が集まり始め、そして いよいよ上演。影絵だけで１時間３０分は見ているほうもかなりつらいかもしれないと思い、 人形の紹介やら影を見せて何の影か当てるクイズなどいろいろ盛り込んでやってみました。 やっぱり長かったかもしれませんね。そんな感じでいろいろ反省点を残しつつ上演はなんと か終了しました。
−たぶん呼んだ方のほうが不安だったのでは−影絵の上演は長年やっているのでそれなりに出来るだろうとは思いましたが、大江町のかたは見ていないし、準備はどうしたらいいのかとか、良く判らないことのほうが多く、たいへ んな事だったのではなかったでしょうか。もっとこちらから作品の写真などを送ったりでき れば良かったのですが、用意できず、申し訳なかったです。また大江町の方には会場の写真 を送っていただいたり、ポスターを作っていただいたり、またこちらから機材などの問い合 わせがあればそれにきちんと答えて下さったりと、ほんとうに感謝のかぎりです。
−インターネットの事−今回、山形と横浜での結びつきがインターネットを通して可能だったわけですが、上演がきまってから山形のポケットという人形劇団がホームページを開設していることがわかり上演 の日程などをメールで送りました。そしてそのメンバーの方が山形市から車を飛ばして見に 来てくださったのです。わざわざ来て下さってとてもうれしかったです。ネットワークのそ れぞれの端には人がいて人形劇とか影絵とかでそれが結びついたことがとても嬉しかったで す。来年、もし機会があるのでしたら、山形の人形劇団の方々と合同公演などできたら幸せ だろうな〜などと勝手に思い描いてみたりするのでした。（そう簡単にはいきませんね。） 影絵サークル シルエット・フェア代表 石井秀明
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